「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」と同時上映された幻の映画「Black Angel(黒き天使)」がYouTubeで公開
「名作」と呼ばれ長く記憶される映画は、何千本、何万本という実験的な作品があって初めて誕生します。1980年に公開された「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」と、同時上映された「Black Angel」もそんな映画の一つ。長らくプリントの行方が分からなくなっていたのですが、発見・修復され先日YouTubeで誰でも見られるようになりました。
「Black Angel(黒き天使)」は、アーサー王伝説をモチーフにした短編映画。戦場から戻る騎士・マドックスが幻想の世界に迷い込み「黒き天使」と呼ばれる黒衣の騎士と、命の恩人である少女を巡って争うというあらすじ。ほとんどセリフはなく、結末も謎めいたものとなっています。
Black Angel (1980 short film) – YouTube
総監督のロジャー・クリスチャンは「スター・ウォーズ」第1作の美術監督を務めたことで、ジョージ・ルーカスと仕事をするようになりました。それから「エイリアン」「ライフ・オブ・ブライアン 」などの作品に参加しています。
当時はヨーロッパを中心に、長編映画の前に短編を上映する習慣があったそうです。映画学校に戻ってシナリオ術を学んだクリスチャンに、ちょうど「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」と同時上映する短編を探していたジョージ・ルーカスのオファ-を受け、クリスチャンは「Black Angel」の制作にかかりました。
「帝国の逆襲」撮影終了後の1979年の9月・10月という非常に短い期間と低予算ながら秋の光の中で撮影されたスコットランドの景色と相まって、非常に幻想的な映像となっています。「帝国の逆襲」では老師・ヨーダとの問答など、精神的な部分での世界観の掘り下げがありましたがうまくマッチしているのではないでしょうか。
また若干尺が短かったので、同じコマを何度も表示させるスローモーションにした対決シーンは、ジョージ・ルーカスにも好評で、編集中だった「帝国の逆襲」でも採用されました。
同時上映でも非常に好評だったようですが、その後オリジナルプリントは紛失しVHSの海賊版でしか見ることができませんでした。しかし2012年になぜかユニバーサル・スタジオの倉庫で発見され、アメリカ・カリフォルニアのアテナ・スタジオ社が1コマずつ修復。アメリカの映画祭で復活上映されそして先日、YouTubeで公開されました。
スピルバーグをして「史上最も謎めいた(Enigmatic)な映画」と言わしめた作品、ぜひ一度見て、映画史の重みを体験してみてはどうでしょうか。
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