アートとデザイン

海外の銃器愛好家コミュニティの定番ジョーク「提灯鉄砲レビュー記事の書き方」


世の中には「ステマ」「提灯記事」が溢れていて、レビューの内容よりもその書かれ方によって「炎上」するケースもよく見かけます。海外の銃器愛好家の間では「雑誌のレビューは基本的にステマ」という認識になっていて、その「手口」がジョークとしてまとめられ、ことあるごとに笑いの種になっています。

この「How gun magazines write articles…(銃器雑誌の記事の書き方)」のオリジナルはSF作家のL・スプレイグ・ディ・キャンプが筆名のライマン・ライアン名義で書いたもの……と言われていますが定かではありません。キャンプは2000年に死亡しており、使用されている語と書かれたであろう年代がマッチしないように思います。

ともあれ「提灯鉄砲レビューあるある」満載な内容は銃器愛好家に愛されており、どうしようもない鉄砲と提灯記事が現れる度にネット掲示板にコピー&ペーストされるミームとして定着しています。翻訳はこんな感じ。

編集者からライターへのメール:
 
オンボロ・アームズ社が来月号に4ページのカラー広告を買ってくれた。そして彼らの新製品「CQB MK-V Tactical Destroyer」を送ってきた。フレッドに射撃場でテストをさせる。明日あなたのところにデータを送ってくるだろう。

技術者フレッドからのメール:
 
この銃は第2次世界大戦中の日本製南部14年式のデッドコピーで、おまけに鋳物の亜鉛製だ。グリップは紙を固めたもので銃身はライフリングすらないただのパイプだ。外にも中にもヤスリの跡が残っている

使用する8mmの弾は10発しか送ってこなかった。以前本物の南部を扱った経験から、ターゲットまでの距離は2フィート(約61センチ)に設定した。マガジンには4発なんとか押し込み、薬室に1発装填した。そしてマガジンをテープ止めし、レストマシンに銃をボルト止めした後、20フィート(約6メートル)後ろのバリケードから引き金につないだワイヤーを引いた。引き金の重さは15kgを超えてしまったので計測できなかった。3回めでやっとピストルが発射された。的に空いた穴から見て、銃身、フレーム、マガジン、引き金、リコイルスプリングが的に向かって飛んでいったものと思われる。残りのパーツは辺りに散乱した

レストマシンは工場に送って修理の見積もりを依頼した。射撃場の人たちのために射撃用ベンチを交換しなければならない。今日の仕事はこれまで。銃声のせいで耳鳴りがする。飲みに行かないと。

ライターが書いた記事:
 
「CQB MK-V Tactical Destroyer」は間違いなく世界で最も危険な銃だ戦場でテストされた軍用デザインを元に、新素材を使用して作られている。銃身の設計は斬新で集弾性がある。この点は世界中の特殊部隊も評価基準としている。「The Destroyer」は明らかに1丁ずつ手加工で調整されている。分解に特別な道具は必要ない。妥当な戦闘距離において、私が思っていたよりもはるかに速く、的に5つの穴を開けることができた。なんとしても銃撃戦を終わらせたいなら買うべき銃だ。手元に置いておきたい銃で、私自身サンプルを送り返せないでいる

太字の対応する部分を見るとわかりますが、ライターはウソをついているわけではありません。技術者のフレッドからの「どうしようもないクズ銃」感たっぷりの報告から「撃つとバラバラになった」という事実を削除し、表現を少し変えるだけで思わず欲しくなってしまう製品レビューに仕上げただけです。

実際、鉄砲に限らず世の中はこういう巧妙なレビューで溢れていて、しばしば「つかまされた」と嘆く人を見かけます。実際にモノに触ることができないネット通販はこうしたレビューに頼るところが大きいわけで、そろそろなんとかしたい問題です。

ソース:How gun magazines write articles… – THR

トップ画像:Big Gun 1923 | Flickr – Photo Sharing!

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