「3Dプリンター臓器は無人自動車システムが完成しないと発達しない」意外な関連性が明らかに
3Dプリンターによる人工臓器製造と無人運転自動車、2つの技術は何の関係もないように見えます。しかし、臓器移植のドナーの約1割は交通事故の死亡者。事故の減少による臓器不足が起こって初めて「3Dプリンター臓器」の研究は本格的に進むのではないか……と考えている技術者もいるようです。
これは、3Dプリンタの開発・製造大手「Makerbot」社のブレ・ペティスCEOが「フォーチュン」誌の記者に語ったもの。
アメリカではこの10年間、毎年1万4千件ほどの臓器移植が行われ、そのうち約8千件が死体からの移植となっています。
以下はアメリカ保健福祉省による2006年から2014年までの死体移植の死因統計。例えば2013年は「自然死(Natural Causes)」をトップに「交通事故(MVA)」「上記以外の死因(Non of the above)」「交通事故以外の事故(Non MVA)」「自殺(Suicide)」「他殺(Homicide)」「児童虐待(Child Abuse)」となっています。
2013年の交通事故の死者からの臓器移植は1299人。これは死体移植の15.7%、生体移植を含めた全ドナー数1万4千258人の約9%を占めるという計算となります。
全体の1割弱を占める交通事故死者からの臓器移植が困難になって初めて、3Dプリンターによる人工臓器作りは本格化するのではないか……とブレ・ペティスCEOは考えているようです。
アメリカでは毎年約3万人が交通事故で亡くなります。事故の9割はヒューマンエラーによるものです。もし仮に全ての自動車のうち10%が無人運転となった場合約1000人の死者減少、90%であれば約2万人の減少という試算が出ています。
移植用臓器についてはそもそもまったく数が足らず「足りているから本格化しない」というのは相当極端な結論です。現にES細胞からの培養を含む非常に多くの研究がなされているのは最近の報道の通りです。
しかし「ニーズがあればあっというまにそれを埋める動きが出てくる」というのもビジネス的には正解です。ある技術の完成が、まったく別の問題を引き起こし、そして別の技術が生まれる……というあまり目にすることのないシチュエーションが展開しているのかもしれません。
ソース:If driverless cars save lives, where will we get organs? – Fortune
トップ画像:3-D Printer | Flickr – Photo Sharing!
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