科学と技術

チェスの駒を完全にランダムに動かしたら一体何手目で王手がかかるのか


経験とひらめきの違いがもっとも強く現れるゲームと言われているチェスや将棋に、完全にランダムな要素を持ち込むとどうなるのでしょうか。実際に実験したところ、なかなか興味深い結果が得られるようです。


こちらはBill Automataさんがチェス仲間に「駒を適当に動かしてないか?」と聞かれたところから始まった実験。Amazonのクラウド上で10万ゲームを回してみた結果がこうなりました。

横軸に手数、縦軸に王手成立数となっています。青がランダムなもの、茶色が過去の試合記録を処理したものとなっています。

そもそも互いにランダムに駒を動かした時、引き分けずに勝負がつくのが15%。そして王手に至るまで平均342手が必要になりました。対して人間同士の戦いでは、引き分けと王手成立がほぼ半々。平均80手で勝負がつくそうです。特に81手目で勝負がつくことが多く、グラフもそこだけが飛び出しています。

チェスはチェックメイトを得る問題を解決するゲームと考えると、総当りで調べた時の約4分の1の時間で何らかの結論に至る能力が人間にはあるということになりますね。

1997年に当時の世界チャンピオン・カスパロフをやぶったIBMの「ディープ・ブルー」は、この試合で6戦中3勝。それぞれ45手、45手、19手で勝利していますが、この時のディープ・ブルーの思考ルーチンには「バグ」があり、このバグによって生まれた予想外の動きがカスパロフを惑わせた……と後に判明しています。

人間の思考はコンピューターにとっては「バグ」なのか。もしそうだとすれば経験やカンの力は定式化できるのか……人間の可能性を感じさせる結果となりました。他にも「ある駒はゲーム終了時にどこにいる確率が高いのか」「盤上の位置による駒のベクトルの変化」など色々と興味深い統計が取られています。詳細は以下のリンクから。

ソース:Random Chess Moves in Javascript

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