ポーランドの高校卒業判定テストの合格点を30点に決めると得点分布図がすごいことになってしまった
日本の子ども達の学力が落ちているということで「小学生にも留年制度を設けるべきだ」「大学の単位認定・進級判定をもっともっと厳格にすべきだ」とテストの厳格化が提言されています。それでは本当に「点数だけを基準にして救済措置なし」にすると一体何が起こるのでしょうか。ポーランドの高校卒業判定テストでは得点分布図がすごいことになってしまいました。
さてまずこちらは、ごく一般的なテストにおける得点分布図の形。普通に試験をすれば多少の凸凹はあっても、大体この形になります。平均点のところを頂点に左右になだらかな山を描きます。
正規分布 – Wikipedia
ポーランドの高校生はマトゥーラと呼ばれる学力判定テストを受験します。2004年に現在の方式のテストが開始され、高校生は全課程を修了してもマトゥーラに合格しなければ大学入試の受験ができません。
これに落ちると1年待たなければならないので、いわばその高校生の人生を左右する重要なテストとなります。そんなわけで、ポーランド語のマトゥーラの試験をするとこんな結果になってしまうそうです。
Distribution of results of the Matura (high school exit exam) in Poland in 2013. The minimum score to pass is 30%. – Imgur
ポーランド語の試験は小論文もあるそうで、合格点である30点のグラフが跳ね上がり、25点~29点あたりの人数がぐぐっと減っています。あまりにも重要な試験である、ということが採点者にも分かってしまっているので「手心」が加わってしまうということです。
2010年から2012年までの結果で左がポーランド語、右が数学の試験です。合格点の30点のところに山があるのはどちらも同じですね。
imgur: the simple image sharer
ポーランドだけでなくインドの統一試験でも同じような分布の不均一が見られるそうです。つまり卒業や就職について合格点を定めるというのは、試験する方・される方に「暗黙の了解」が生まれてしまい、あまり意味がないのではないか……ということが考えられます。
「白黒はっきりつけない」のはなんだかとっても気持ちが悪いのですが、結局最後は「この子は将来どれくらい成長するだろうか」という人間のカンに頼るのが正解なのかもしれませんね。
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