正直なレビュアーを訴えようとしたステマ業者がAmazonに契約を打ち切られる

2014.05.14 20:46 by chaka

Amazonで製品に寄せられるレビューの中には、販売者にとって都合の悪いものもあります。こうした都合の悪いレビューの投稿者に「削除しないと訴訟にする」と警告の手紙を送った販売者が、Amazonとの契約を打ち切られるという事件があったようです。

この事件について掲示板に投稿した「trevely」と名乗る男性は、ある日Amazonで無線LANルーターを探していました。男性はたくさんある中から、レビューの点数も高いMediabridge Products社のものを購入しました。

しかし性能はまったくよくなく、しかもよい評価をつけているレビューの投稿者たちよく見ると「このルーターにしかレビューをつけていない人」ばかり。要するにMediabridge Products社の関係者が第三者になりすましていい評価をつけているようなのです。悪い評価をつけている人もたくさんいたのですが、よい評価があまりにも多く、点数に現れなかったのです。

そこでtrevelyさんは製品のレビューに「これはもっと安いメーカーのものにマークをつけただけの商品です。他のもっと有名なメーカーのしっかりした製品を買うことをおすすめします。また、この製品はステルスマーケティングが行われていて、正当な評価が埋もれてしまっています」と事の次第をはっきり書きました。

このレビューは製品に付けられたものの中でも「最も役に立つ」と評価され、次第に製品の評価も悪くなっていったわけですが、ある日突然Mediabridge Products社の弁護士から「不当に損害を与え、侮辱し、不法な書き込みである。3日以内に削除しなければ訴訟する」という猛抗議というか罵詈雑言に近い手紙が届きました。

trevelyさんはこの手紙を掲示板「Reddit」にて公開。寄付の申し出や色々な「知恵」の紹介などの書き込みが集まりました。そしてレビュー削除の締切日が来たわけですが……Mediabridge Products社は「Amazonとの契約を打ち切られた」とFacebookページ上で発表したのです。

どうやらネット掲示板のユーザー達が通報を繰り返したため、Amazonが実際に調査を行い「クロ」だと判断したようです。Mediabridge Products社の製品ページはすべて削除され、大きな販路を失う結果となってしまいました。

実際の所Amazonの中でどのような結論が出たのか不明ですが、同じ掲示板にはこんな書き込みがありました。

Amazonの中の人です。もちろん社の意見を代表しているわけではありませんのであしからず。
もしカスタマーサービスで問題が解決しなければxxxxxxxxxxx@amazon.com（訳注：AmazonのCEO、ジェフ・ベゾズのメールアドレス）にメールしてみてください。マジメな話、ジェフ・ベゾズは毎日クレームのメールを読んでいて、時々担当の部署に「？」とだけ書いてメールを転送してくることがあります。もしこのメールが来たら仕事を中断してじこのクレームを解決しなければいけません。
Amazon入社初日に学ぶのです：顧客が第一だと。顧客の存在こそが私達の存在理由であり、働く目標なのだということを。

これを逆手に取ると、キライな企業の製品にいかにもステルスマーケティングですという感じのレビューをたくさん書き込み、そしてそのことを指摘する風のレビューをつけて「炎上」させる……ということもできてしまいそうです。だからドラスティックなカスタマーサポートというのは意外と難しく、慎重さが必要なのですが……こうしてきちんと反応してくれるという事例があると安心できるというものです。

ソース：Getting sued for Amazon review… : legaladvice