科学と技術

金属3Dプリンタによる1911型45口径ピストルの製造・実射にアメリカの企業が世界で初めて成功


先日、3Dプリンタによって樹脂製拳銃が出力可能であることがニュースになりましたが、今度は金属性、しかも強力な45口径の弾丸を使用できる拳銃の出力にアメリカの企業が成功したようです。


これは銃火器の製造免許をもつ、アメリカ・テキサスのSolid Concepts社のエンジニアが制作したもの。

スライドやフレーム、銃身などほとんどの内部パーツをDMLS(光焼結方式)式の3Dプリンタで出力。ほとんどは17-4ステンレスでビーバーテイルや撃鉄等にインコネル(625ニッケル合金)が使われています。グリップも3Dプリンタによる樹脂で出力。

DMLS方式の3Dプリンタで出力されたパーツ群。メインスプリングやネジ等は市販品を使ったと思われます。穴あけやすり合わせなど後加工は一切行われず、工具は組み立て時に使われたのみとのこと。おそらく実射テスト後に撮影されたもので、スライド側面が研磨されています。

50発の試射に成功。「すりあわせ」が行われていないためやや動作が渋いところが見られますが、特に危なげなく動いています。

動画はこちらから。
Shooting with the World’s First 3D Printed Metal Gun – YouTube

先日、世間をにぎわせた「Defence Distributed」製の3Dプリンタピストルは「3Dプリンタで武器を製造することができる」ということを証明するためのものでした。今回のものは「3Dプリンタで出力した金属パーツは精度が低く強度もない」という誤解を晴らすためのもの。

樹脂でも光硬化方式の場合だと、一般的な積層方式よりも数段出力価格が跳ね上がるので、おそらくこちらの1911も相当なコストがかかっていると思われます。大量生産の可能性は今のところ低いと思われます。

DMLS方式を解説している同社の動画はこちら。「光焼結方式」は粉末の金属をレーザーで過熱し焼結させるというもの。試作でよく使われますが、拳銃まで作れるとなると強度も確かに十分あるようです。
Solid Concepts – Direct Metal Laser Sintering (DMLS) Technology – YouTube

ソース:World’s First 3D Printed Metal Gun – Solid Concepts Blog

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