アメリカ海軍の自律型無人航空機「X-47B」空母への着艦テストに世界で初めて成功
自分で判断し、自分で飛ぶことができるアメリカ海軍の無人航空機「X-47B」は、人間のパイロットの肉体的限界を超えた作戦が行えるということで期待されていますが、2013年7月10日、とうとう最難関である空母への着艦を成功させました。
2013年7月10日に行われたテストでは、アメリカ海軍が研究開発を進めている無人戦闘攻撃機システム実証機X-47Bを使い、アメリカ東海岸、バージニア州ノーフォーク沖に浮かぶ空母ジョージ・H・W・ブッシュへの着艦とカタパルトを使った発艦テストが行われました。
この日、メリーランド州パトゥセント・リバー海軍基地から、2機のF/A-18戦闘攻撃機にエスコートされて飛来したX-47Bは何度かタッチアンドゴーを行った後自律飛行で着艦、その後カタパルトを用いて発艦したあと再び着艦に成功しました。
2回目の発艦を行い3回目の着艦を行う寸前、航法コンピューターが異常を検知したため空母への着艦は中止。オペレーターがバージニア州ワロップス・アイランド基地に着陸地を変更し、実験は終了しました。
今回のテストでは、飛行時にX-47Bを監視するオペレーターから、着艦後にデッキ上でX-47Bを誘導するデッキクルーに権限を切り替える際に、トラブルが出たとのこと。
デッキオフィサーと共にX-47Bの飛行前チェックを行うデッキクルー。各種機器を操作する人とチェックをする人は従来の有人機の場合と同じように分担しているようです。
右腕にマウントしたコントローラーに異常があったようで、交換後は無事に権限が委譲されたようです。デッキ上での無人機のコントロールは、こうした端末だけでなく、両手のジェスチャーを使ったマーシャリングでも行えるよう研究が行われています。
1回目の着艦~離艦~2回目の着艦まで
X-47B Completes First Carrier-based Arrested Landing – YouTube
こちらはノースロップ・グラマンが公開している動画。2013年5月14日のカタパルトを使った発艦テストと2013年7月10日のタッチアンドゴーと着艦シーンをつないでいます。
X-47B UCAS Aviation History Under Way – YouTube
空母への着艦については、人間のパイロットは非常に厳しい訓練を受けます。任務中の着艦は毎回すべて採点され、さらに1か月に1度必ず認定試験を受けなければいけません。
これはもし仮に失敗して飛行甲板を失った場合場合、空母の戦闘能力は失われ後続の機体も降りられなくなるため。決してミスができないオペレーションになります。
X-47Bはオペレーターが操縦を行うラジコン式ではなく、搭載されたコンピューターとGPSを使って自分で判断を行う「自律式」が大きな特徴。今回の空母への着艦は自機の姿勢だけでなく波の上で揺れ続ける空母の動きも検知する必要があるため、開発計画の中でも最難関でした。今回の成功はまさに歴史的といえるものです。
ソース:History Is Made As UCAS Lands On U.S. Carrier
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