世界最大のファイル共有情報サイト「The Pirate Bay」のドキュメンタリー映画「TPB: Away From Keyboard」無料で全編公開中
P2Pファイル共有ソフト「BitTorrent」上で日々流通する膨大な違法コピーソフトや著作権侵害コンテンツ、その情報を収集・提供している世界最大の検索サイト「The Pirate Bay(海賊の港の意)」は日々企業や権利団体から訴えられています。「TPB: Away From Keyboard」はそのタイトル通りキーボードから離れ、現実世界の法律と向き合うこととなった彼らのドキュメンタリー。全編が無料で公開されており、各所で話題となっています。
「TPB: Away From Keyboard」は、映像作家Simon Kloseが監督によるドキュメンタリー映画。The Pirate Bayの中心人物、Peter Sunde、Fredrik Neij、Gottfrid Svartholmへの訴訟や、音楽・映画産業による政府機関への圧力など、コンピューターの外側の世界とThe Pirate Bayとの関係を描きます。
「TPB: Away From Keyboard」の製作費はKickstarterを通じて募集されましたが、目標の2万5千ドルの2倍以上である5万1千424ドルを獲得。さらにはスウェーデン政府の芸術助成団体からも20万クローネ(約3万ドル)の補助金を得ています。インディーズ映画としては破格といえる額となっており、世界の注目ぶりが分かります。
撮影は2008年から行われており、2012年8月に完成。公式サイトでダウンロード権やノベルティグッズの販売で収益を得る一方、YouTubeでは全編が公開されており、すでに約160万回も視聴されています。
TPB AFK: The Pirate Bay Away From Keyboard – YouTube
監督のSimon KloseはKickstarterで「従来とは違う映画の販売方法を模索したい」と語っており、この映画もクリエイティブ・コモン・ライセンス「BY-NC-ND(表示 – 非営利 – 改変禁止)」のもと公開されています。(スウェーデンのTV局のニュースなどの映像素材を使用しているため、これら団体の権利と競合しない場合のみ営利利用可との権利放棄の声明あり)。
しかし、ネットの著作権パラダイムを扱う映画が、旧来の枠組みに従うのはおかしい、ということで、こうした素材を含まない「Remix」バージョンも公開されています。こちらは「BY-NC-SA(表示 – 非営利 – 継承)」で公開され、自由にカットアップして編集しなおし、新たな「The Pirates Bay」を語ることができるようになっています。
インターネットによって、コンテンツを作っているすべての人々の生き方は大きな変化をみせました。アメリカで行われたインターネット・コンテンツの祭典「SXSW(South by Southwest)」でも上映され、非常に高い評価を得たようです。
こうしたP2Pネットワークは、著作権システムだけでなく、巨大な音楽・映画産業による流通ルートの独占の崩壊にもつながります。インターネットが現実世界に及ぼす影響は、日々大きく、目に見えるようになっているようです。
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