1984年から2012年まで「カメラグランプリ」を受賞した29台のカメラ一覧
世界中のスチルカメラのほとんどは日本のメーカー製、ということで日本でトップというのは実は世界でもトップのカメラであるといっても過言ではありません。先日行われたカメラの見本市「CP+2013」で、日本のカメラ・写真関係の雑誌社で構成されるカメラ記者クラブが主催する「カメラグランプリ」第1回から第29回までに受賞した全カメラが展示されていました。
以下、写真はクリックすると拡大することができます。
画面を分割して明るさを測定するマルチパターン測光を世界で初めて搭載、またシャッタースピードの幅も広く、撮影できるものがぐっと増えました。
交換レンズのほぼすべてがオートフォーカス対応という当時としては画期的なカメラ。こちらもぐぐっとシャッターチャンスを増やすカメラでした。
いろいろな機能が機械制御ではなく電子制御となったカメラ。賛否あるところでしょうか現在のカメラのインターフェイスのさきがけといえます。
こちらも本体とレンズのコントロールが電気で行われるようになったカメラ。機械部分を減らしていくというのが当時のトレンドだったようですね。
今ならビデオカメラに見えてしまいますが、ミラーを備えた「一眼レフ」。片手で扱える一眼レフ、というのは今でも珍しいのでは。
多様な撮影モード、そして比較的安価なところでカメラユーザーを増やした功績が評価されたようです。
高機能、というよりも精度を高めたモデル。フィルムの平面性を高めるリアルタイムバキュームシステムや高剛性の金属ボディによってレンズの性能を引き出すという、ものすごくカメラらしいカメラでした。
この辺りのカメラは「誰にでも使える簡単さ」「フォーカスや測光の速さと正確さ」を進化させていたようです。今でも追求される永遠のテーマですが、このころは特に伸びていたようですね。
見たところにフォーカスがあたる視線入力AFを搭載した世界初のカメラ。また、シャッター音・フィルムの送り出し音が非常に小さく、この後2001年まで9年間も販売が続けられるロングセラーとなりました。
一眼レフカメラの受賞が続く中、レンズ交換式レンジファインダーカメラを電子化・オートフォーカスを実現するという趣味性の高いモデル。白銀というデザインも持ち歩きを意識しているようです。
小型ながら高いレンズ性能をもち「一眼レフ並み」の撮影ができました。
色と距離を計算に含める「3D-RGBマルチパターン測光」で計測精度が向上、大型バッテリーパックの一体化でさらに報道などのプロ向けとなりました。
中判カメラとして世界で初めてオートフォーカス昨日を搭載、35mmフィルムから次を狙うユーザーにとって敷居を下げたカメラです。
こちらもキヤノンの最高峰カメラ。この頃はスペック競争の頂点とも言える時代でした。
様々なカメラ賞を総なめにしたミノルタ中堅機として極限のモデル。フィルム機の性能向上はピークだったのでしょう。
第19回:キヤノン EOS-1D この回からフィルムからデジタルに変わります。
フィルム撮影の感覚でストレスなくデジタル撮影が可能なレベルに達したカメラ。とはいえ今から見れば415万画素は携帯電話にも負けるスペックですが……。
前回に引き続きキヤノンが受賞。フルサイズセンサーを搭載し画素数も1000万画素を超えたスタジオ撮影向けモデルです。
他のデジタル一眼レフと比べて安価で、しかも性能は高いというコストパフォーマンスの高さで、アマチュアに一気にアピールしたカメラでした。
センサーを動かすというフィルムでは不可能な「ボディ内手ブレ補正」を搭載したコニカミノルタ初のデジタル一眼レフでした。傑作の名前を受け継ぐだけあって画期的なモデルです。
アマチュア・ハイアマチュア向け一眼レフでキヤノンに後れをとっていたニコンが出したハイアマチュア向けライン。当時は技術の進歩が早く、1世代前のモデルは例えハイエンドでも性能面で追い抜かれることがありました。
古いレンズでも手ブレ補正が行える「ボディ内手ブレ補正」に、防塵防滴で耐候性の高さを実現、価格もリーズナブルで幅広いユーザーに評価されました。
ニコンのフラッグシップ「一桁モデル」で初めてフルサイズセンサーを搭載。高感度でのノイズの少なさは話題となりました。
静止画撮影きのうはもちろん、初めてフルハイビジョン動画撮影機能を搭載したモデル。映画の撮影も一眼レフカメラ、という時代が来ていたころです。
レンズ交換式デジタルカメラがぐぐっと小さくなって、今まで対象としていなかった様々な層にカメラがひろがるきっかけとなりました。「持ち歩き高性能」は今も試行錯誤が続いています。
中判カメラの名作(第15回の受賞カメラ)の名を受け継ぐカメラ。100万円を切るという、中判デジタルとしては破格といっていい価格に高性能を詰めこんでいます。
先代D700に動画撮影機能を搭載、フラッグシップ機をも超えていく機能をリーズナブルな価格で実現した「磨き込み」が評価されました。
2011年からは「レンズ賞」も制定されました。
第1回レンズ賞:タムロン 18-270mm f3.5-6.3 Di II VC PZD
一眼レフ向けに「15倍ズーム」を実現、超音波モーターによるAFに手ブレ補正を積んだ「全部入り」モデル。1本あればとりあえずなんとかなるという便利さがあります。
第2回レンズ賞:キヤノン EF8-15mm f4L フィッシュアイ USM
魚眼レンズには「全周魚眼」と「対角線魚眼」がありますが、これを切り替えて使えるカメラ。
歴代の「カメラ記者クラブ賞」受賞カメラたち。エプソンのレンジファインダーデジタルカメラR-D1やリコーGRデジタルなど、性能よりもオンリーワンさというかユニークさがアピールするカメラが選出されています。
CP+では各カメラメーカーがブースを出しています。中には自社の歴代モデルを展示しているところもありました。以下はニコンブースから。
航空写真用「Aero NIKKOR 18cm f4.5」焦点距離表示がmmではなくcmなのが面白い。
1933年製。ドイツ・ツァイス社のレンズを徹底的に研究して作られたようです。
1959年発売、ニコン初のスチル写真用望遠ズームレンズ「Zoom-Nikkor 8.5-25cm/f4-4.5」
マウント規格は「Fマウント」なのでこの時代のレンズでもちょっと部品を変えれば現代のデジタル一眼レフに装着できてしまう、というのがすごい。
普通の写真の撮影以外にもレンズは使われます。半導体基板を転写するため専用のレンズ「Ultra Micro-NIKKOR 105mm f2.8」
250枚連続で撮影できるフィルムバックを装着したNASA仕様の「F3 ビッグカメラ(左)」とデジタルの「D3S」。一見なんの変哲もないカメラですがどちらも「宇宙に行って帰ってきたカメラ」です。
「AI Zoom-Nikkor 1200-1700mm f/5.6-8P IF-ED」甲子園のセンターバックスクリーンにある報道席からバッターの正面の写真を撮影するために開発されたレンズ。ケースに収めると新幹線の3人掛けシート分くらいの幅があります。
現代は「どのカメラを買っても性能の差が分からない」時代ですが、その昔はメーカーごとに色々な特徴を備えていたようです。カメラの性能向上競争にはすさまじいものがあり、そうしたメーカーの特色を加える余地というのはどんどん小さくなっているように見えます。
しかしそれでも時代を変えるカメラ、というのは現れます。
単純に速くなった、精度が上がった、丈夫になったというのは確かに「エポックメイキング」なカメラの条件ではあるのですが、それ以上に「今まで撮影できなかったシチュエーションで写真が撮れるようになった」という点が評価されることが多いようです。
また「今までカメラに触ったことがない人へのアピール」「ユーザー層の拡大」というのも重要な点。受賞モデルを順番に見ていくと、性能向上がやや頭打ちになった時にはかならずこうしたモデルが現れています。
次はいったい、何がどのように進化し、さらに写真の世界を広げるのでしょうか?これまで以上に難しい課題となりそうですが、日本のメーカーの活躍に期待です。
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