ターゲットをロック、自動でトリガーをコントロールする狙撃システム「TrackPoint」
長距離射撃というのはカンと経験に裏打ちされた職人の世界。厳しい訓練に特殊な才能が必要です。しかし「Track Point」はズブの素人を狙撃マシーンに変身させられるすぐれもの。ターゲットを追跡し、トリガーをコントロールすることで、呼吸などによるブレの影響を極限まで抑えることができ、距離による落差なども自動で計算してくれるというすぐれものです。
「Tracking Point」は大口径ライフルに射撃コンピュータとトリガーコントロール機能を組み込んだ照準器を組み合わせた長距離射撃支援デバイス。2013年初頭の発売を目指しており、口径によって3種類のバリエーションが用意されます。
Tracking Point XS1: .338口径ラプア・マグナム
対応射程1200ヤードまで
1万9千995ドル
XS2: .300口径ウィンチェスター・マグナム
対応射程1000ヤードまで
1万7千500ドル
XS3: .300口径ウィンチェスター・マグナム
対応射程750ヤードまで
1万4千995ドル
照準器。巨大です。
覗いたところ。距離によって微妙な照準の修正などを行うコンピューター入り。おそらく自動で測距しています。
引き金の前のこのボタンで「Tracking Point」を操作します。
232ヤード(210メートル)先においたグレープフルーツを使って「Tracking Point」のプロトタイプを試験している動画は以下。
まず、ターゲットにクロスヘアを合わせてタグ付けします。
これで「Tracking Point」はターゲットを追い続け、引き金をロック。あとは引き金に力を入れ続けながらクロスヘアをターゲットに再度合わせると、その瞬間にロックが外れて発射します。長距離射撃では呼吸や鼓動にによる照準のブレが発生しますが、発射のタイミングをコンピューターにまかせることでブレの影響をゼロにします。
発射は完全に電気式にもできますが、おそらく故障した際の誤射を防ぐために人力になっているのだと思われます。微妙な判断を機械任せにしないのは安全のために重要です。
射手の照準が動いてしまうのは問題ありませんが、ターゲットの移動にはまだ対応していないようです。
iPhoneなどの機器に映像をリアルタイムで出力可能です。
「Tracking Point」は練度の低い射手でも熟練の技と弾道に関する知識が必要な長距離射撃が可能にします。ヘリや船などの揺れる場所からの狙撃には便利でしょう。まだ風速を計測して補正手段がありませんが、これも時間の問題と思われます。
ターゲットの移動に関しては、今ではどんなカメラにでも搭載されている「顔認識技術」で対応できそう。近い将来、狙撃対象に接近した偵察兵が狙撃手のスコープ視点をiPhoneやiPadで確認し対象をタグ付け、ターゲット付近の風速データなどを送信して精度を高めるなど二人三脚の狙撃が行われるのではないでしょうか。
TrackingPoint Demonstration – YouTube
こちらはサンディア国立研究所で開発されたレーザー誘導の弾丸。8bitCPUを搭載し、尾部のフィンでヨーとピッチを制御します。ごく普通のライフルや機関銃から発射可能で、レーザーを照射したターゲットに向かって自分で軌道を補正することができます。
尾部にLEDを組み込み軌跡を撮影したところ。機関銃で使うよう開発された弾頭ですが、こうした弾頭を組み合わせればさらに狙撃精度はたかまります。
もっともここまでくるともう単発のライフルを使う必要はないわけですが……タグ付けされた的だけに襲い掛かる鋼鉄の嵐、というのは考えるだに恐ろしい兵器ですね。
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