科学と技術

太陽光と水、熱したオイルで動作するクリーンな「内燃機関」エンジン「HydroICE」


ものすごい勢いで膨らむ何かを筒の中に入れてピストンを押し下げるのがエンジンの基本的な構造。現在は化石燃料を爆発させていますが、沸騰すると体積が2000倍近くなる水を使った非常にクリーンな「エンジン」が開発されました。


「HydroICE」を開発したのはアメリカのMissouri Sustainable Energy社。

こちらがプロトタイプエンジン。芝刈り機などに使われる2ストロークガソリンエンジンを改造したものとなります。

まず、太陽光を集光して摂氏200~370度まで熱したオイルをシリンダー内に噴射します。

そしてそこに水を滴下。

水は瞬時に沸騰、水蒸気となって大きく膨張しピストンを押し下げます。この時、水と油の間で何か化学反応が起こっているわけではないので、有害なガスなどは発生しません。

そのまま水とオイルの混合物は排出され、エンジンは回り続けます。

エネルギー変換効率は15%程度と太陽電池とあまり変化はないのですが、設置および発電コストの双方とも7割以上削減できるそう。

駆動に使った水とオイルの混合物は回収して分離し再利用することになります。時々ちょっと足してあげたりするといいのかも。

どうがんばっても出力は小さいのでこれで自動車を動かすというのはできなさそう。発電機につないで蓄電するという使い方が考えられています。今後の研究開発のために現在Indiegogoで出資を募集中。使用するオイルと断熱材の改良のために用いられるそうです。

ごく小さい水蒸気の力を利用しなければならないので、各部の摩擦や駆動軸の振れなどのロスを少なくするのにレース用エンジン並みの努力が必要そうに見えます。また毎朝ちょっとだけ弾みをつけてあげないと回転しはじめないのも欠点といえば欠点です。

ただし構造は普通のガソリンエンジンと変わりないので、既存の工作機械で作れるところは大きなメリット。中国や台湾、インドといった小排気量の二輪車をたくさん生産しているような工場のラインはすぐに転用できるというのが面白いところです。

ソース:The HydroICE Solar Project – AFFORDABLE Clean Energy | Indiegogo

Hydro Internal Clean Engine | Bringing an affordable, locally producible solar energy option to YOU A project by Missouri Sustainable Energy

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