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[字幕動画]「ゲーミフィケーション」を考えさせるちょっと不気味な現代のおとぎ話「The Internet Story」


インターネット上で開催されているちょっとしたクイズや宝探し、MMORPGなど「ゲーム」に参加したことがある人は結構いると思います。こうしていろいろなものを「ゲーム」に仕立てて参加させる「ゲーミフィケーション」と呼ばれるマーケティングの手法が最近盛んに用いられているのですが、それにまつわる現代のおとぎ話がこちら。現実と空想をいったりきたり、少し不気味なお話です。


下の「Select Language」タブから「Japanese」を選択して再生すると字幕が表示されます。動画が表示されていない場合は、何度か「F5」キーを押してページの表示を更新してみてください。

(以下ネタバレ含む)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
動画のコメント欄には「すべてはAl1の自作自演だよ。Al1は英語で書くと『Alone』つまり『孤独』だぜ。あれは自殺なんだ」とか「Al1とFortlessとAl1の持っていたシャベルやトランプが同じだ。同一人物だ」とか「実はAl1のパズルを解いた人がもう1人いて、そいつとFortressが取っ組み合いになってどちらかが死んだんじゃないか」など『謎解き』に熱中する人がたくさん現れました。

事実だけを取り出せば実にシンプルです。「Al1」と名乗る誰かが問題を出す。しかしほとんどの人は無視するか気づかなかった。それを「Fortress」が偶然発見し、謎を解く。もちろん誰も注意しない。そしてFortressは謎が示す場所に赴く。2日後、誰かの死体が発見された。

しかしこの「ゲーム」自体は実は大きな問題ではありません。実はこのゲームに本当に巻き込まれてしまったのは、私やこれを読んでいるあなたたちなのです。

一体誰が誰を殺したのか。実際は誰が何をやったのか、そもそもこの動画はフィクションなのかそれとも現実にあった話なのか……謎が謎のままあいまいにされたり、動画の中にはつじつまが合わない部分がたくさん残されています。

それらに対するヒントも、作者によってたくさん用意されています。例えば、Al1がクイズを出題したサイトのURLが動画中に示されていますが、このサイトはネット上にきちんと存在します

作者はこのシンプルなストーリーを、架空の舞台ではなく実際に普段私たちが使うWebサービスを使って描きだすことで、私たちをもAl1のゲームに参加させているのです。

Al1はクイズを出題することで、Fortlessや語り部にとっての現実をクリアしなければならないゲームに変身させました。そして、私たちもまた、彼らが残す謎をあれこれ推理するゲームに参加しています。つまり私達は、「ゲームに参加するFortressの謎を解くゲーム」というメタな構造の中に取り込まれてしまっているのです。

作者はいったい何を伝えようとしているのでしょうか。

「Internet Story」の中で、Fortlessは人とのコミュニケーションがとても下手な人物として描かれています。Al1とFortlessはゲームのルールのみを介してつながっていましたが、これも何度も繰り返されたように周囲の現実を巻き込むどころか、かえって遠さがる結果となりました。そして現実に2人が出会おうとしたところで悲劇が起こります。

動画のコメント欄で謎解きに熱中する人たちにも同じことがいえます。与えられた動画という「ルール」の中でパズルを解くというゲーム。彼らは他の参加者の発言をヒントとすることはあっても、お互いに親交を深めたりすることはないでしょう。

作者のAdam Butcherは自身のブログでこの「現実のゲーム化」に触れ「現実のゲーム化というのは、それに参加することで他人を(血の通った人間ではなく)ノンプレイヤー・キャラクターに変えてしまう危険を常にはらんでいる」と述べています。

この動画の製作時の仮タイトルは「断絶:あるインターネットの物語」というものだったそうです。Webサービスへの参加による現実のゲーム化、そしてそれによる人間関係の断絶。実にうまく現代のインターネットを描写しているといえないでしょうか。

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