[閲覧注意]「死」とは何か?脈動しない人工心臓を開発した医師のドキュメンタリーフィルム「Flatline」
人間の命の象徴・心臓。近年はこれを人の手で作るという研究が進んでいます。おそらくそう遠くない未来に心臓の機能停止は治せるものとなる日が来るでしょう。その時、人間の生死はどうやって判断すればいいのでしょうか?手術シーンがあるので閲覧には注意が必要です。
アメリカでは毎年、約30万~40万人、日本でも約16万人がが心臓疾患で亡くなっています。
これを治療するには食事療法から外科手術まであらゆる方法があります。人工心臓は1958年、米国クリーブランドクリニック研究所で阿久津哲造が世界初の人工心臓をイヌに埋め込み、1時間半生存したところから歴史が始まりました。
以来約60年、脈動するもの・しないもの、空気ポンプ・モーターといった動力方式、セラミックやチタンなどの材質などさまざまな角度から研究が行われています。2012年には東北大学で体内からケーブルを出すことなく電源を供給できる完全埋め込み型の補助人工心臓用ポンプが開発されており、生身の心臓を人工のものと置き換えるのが当たり前になる日はもうすぐそこまできています。
「Flatline」で取り上げられているのは、テキサス心臓研究所でビリー・コーン医師とバッド・フレイジャー医師が開発した脈動しないタイプの人工心臓。
脈動しない心臓、というのは生物の進化上類がなく、きちんと動くのかどうか、動いたとして体への影響があるのかなど、何がどうなるかまったく分からない世界。ホームセンターで手に入るような材料で試作をはじめたそうです。
そして動物の心臓を切り出し代わりに人工心臓を埋め込んだところ死ぬことなく代謝を行い生き続けました。しかし聴診器で聞いてもまったく脈動を感じることはなく、医学上彼は死んでいる状態だったのです。
その後、アミロイド症の男性、クレイグ・ルイスに人工心臓を埋め込む手術が行われました。
完全に人工心臓で生きているクレイグ・ルイス。血色もよく、肺も機能していたがまったく脈動がなく血圧も一定。5週間後、肺にもアミロイド症が見つかり死亡しましたが、おそらくもっと長い時間生きることができたのでしょう。
免疫による拒絶反応が出てしまったり、材質・条件によっては血栓が出来て詰まってしまったりとまだまだ解決すべき課題はたくさんあります。しかし、心臓を作り出せる日は本当にすぐそこまで来ているのです。
動画はこちらから。
Flatline on Vimeo
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