科学と技術

「銀河鉄道」が現実に、空に伸びるチューブで宇宙に貨物を送り出すリニアモーターカー「Startram」


貨物を宇宙に送り込むには1kgあたり1万ドル、厳重に気密された宇宙船が必要な人間の場合は1kgあたり10万ドルかかるといいます。しかしこれは高価な上に再利用できないロケットエンジンを使う場合場合、実はリニアモーターカーの技術を応用することで、これを1/100以下にできるのです。


「Startram」はロケットエンジンの代わりにリニア技術を使って、貨物を打ち出すというコンセプト。いわゆる「マスドライバー」の実現案の一つです。

スペースシャトルと同程度の3G加速で重力を振り切るためには5分ほど助走が必要になるので、大体1600kmくらいのレールが必要になります。東京~大阪間を往復するとこれくらいになります。

空に向かって伸ばしたチューブの中身は真空になっており、加速の邪魔にならないという仕組み。ただし真空のチューブから濃い大気の中にいきなり飛び出すと強い抵抗がかかってしまうため、おそらく機体も中の人もバラバラになります。なので空気の薄くなる高度20kmまで浮かべないといけません。

そこでリニアでは電磁石で車体とレールを浮かせますが、同じ仕組みを使ってチューブ自体も電磁石で浮かべます。高度20kmまで持ち上げるのに2億アンペアの電流が必要になるそうです。

この図を見るとかなり突飛な計画に思えてしまいますがStartramで必要とされている技術はすべて「実証されていて、あとはスケールアップするだけ」のものばかり。

開発に20年と600億ドルが必要という試算ですが、スペースシャトル計画で1700億ドル、国際宇宙ステーションISSで1500億ドルということを考えるとそう劇的に高い額ではない上、完成すれば1/100以下の値段で貨物を宇宙に上げることができるようになります。

なんといっても空に消えていくレール、という姿かたちがいいですよね……いつか夢見たSFがまた一つ形になりそうです。

ソース:Startram

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