建物で発生する「人の渋滞」を解析して設計に役立てる群衆シミュレータ「MassMotion」
あまりにも混雑してしまう駅や地下街の中にはどう見ても設計ミスとしか思えないものがあります。建物に集まる群衆の動きをシミュレートするソフト「MassMotion」を使えばデザインしている段階で、どこにどのように混雑が発生するのか分析し、設計に生かすことが可能です。
建物を設計する時には、見た目の美しさや構造の強さだけではなく、スムーズに人が移動できるのかということを考えるのも大切になってきます。
Oasys社のMassMotionは、駅や空港などたくさんの人が集まる施設では一体どのように混雑が発生するのかを調べることができるシミュレーター。もちろんこのようなソフトは、例えば道路の設計などですでに使われていますが、面と点で表わす単純な2D映像ではなく実際の見た目に近い3Dで動かせるものとしては唯一のものなのだそうです。
数字では直感的に分かりにくい「人ゴミ」を再現して、設計に役立てることができます。
ヒートマップ表示で、どこに人が集まってしまいやすいかを調査。
建物だけでなく街一帯の群衆の動きをシミュレートできます。
オーストラリア・シドニーのオペラハウスの設計で知られるARUPが導入し、カナダ・トロントユニオン駅やアメリカ・サンフランシスコのトランスベイターミナル、カナダ・モントリオール・トルドー空港などの大規模施設の設計において利用されたそうです。
混雑することなく過ごせる人数は何人程度か、どの辺りで道に迷いそうか、乗り換えの移動はスムーズかどうかなどのシミュレーションは、人間が集中する都心に作られる施設に関してはとても大切になります。
特に非常時の避難経路については重要な項目。建築関係の法律では非常事態を考慮した基準が定められていますが、パニックになった人達がどういう動き方をするのかはただ図面を引いただけでは予測できません。例えば、興奮している人は自分の一番近くにある非常口を発見できずに、もと来た道を戻ったり、人の流れにただ乗って移動することもあるでしょう。実際にシミュレーションを走らせることで出口が足りないポイントを発見できたり、人が集中する場所の階段の幅を広げたりすることができます。
うねうねと動くシミュレーション動画はこちらから。
YouTube – Oasys MassMotion
これさえあれば「なんでこんな訳のわからん建物作ったの?」というのも無くなるのでしょうか。新築だけでなく建て増しの際も活用して欲しいものですね。
ソース:World’s Most Advanced Crowd Simulator Predicts How People React In Emergencies | Fast Company
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