図書館にある無数の本を並べ替える作業を支援する拡張現実(AR)システム「ShelveAR」
図書館で探していた本が正しい場所とは違うところにあって苦労した人は多いかと思います。人力で作業しているためなかなか完璧な状態を維持するのが難しいためですが、そんんな大変な職員のみなさんを支援する拡張現実システムがこのShelveAR。間違った場所にある本を教えてくれます。むしろ図書館利用者に役立つシステムかもしれません。
「ShelvAR」はマイアミ大学の研究者によって開発が行なわれている図書館業務支援アプリ。間違った場所においてある本を効率よく発見し、並べ替える効率を上げることを目的に開発が進んでいます。
いわゆる「拡張現実(AR)」技術が用いられており、タブレット端末をかざすようにすると本の背中のARマーカーを読み取って順番通りに並んでいるかを調べる仕組み。間違えている本には×マークがつけられ、さらにどちらの方向に動かせばいいか指示をしてくれます。
動画はこちらから。カメラ付きタブレット端末が使われていますが、業務向けならヘッドマウントディスプレイのほうが両手が空いていいかもしれません。
YouTube – Augmented Reality App for Shelf Reading
本の並び順だけを基準にして表示しているため、まったく違う書架に置かれてしまったり、同じ書架でも違う段に置かれてしまうと対応できなさそう。書架にもARマーカーを貼り付けたりRFIDを使うなど、まだまだ改善の必要があるように思います。
むしろ図書館利用者が本を探すのを支援するアプリとして公開するとぐっと便利になるかも。利用者に端末を貸し出すかわりに撮影する動画を利用できればリアルタイムですべての棚を監視することも可能になります。購読履歴と結びつけることで既読のものを判別したり「おすすめ」を表示したりなど、利用者側にもメリットのあるシステムにすることもできるでしょう。
インターネットも含めると世の中には一生かかっても読み切れないほどの文字がありますが、その中から今知っておくべき情報を、都合のよい・悪いを考えず偏向無く知るための仕組みというものはまだありません。
私はAmazonなどの「おすすめ」エンジンのような不特定多数が関わる仕組み、ちょっと前まではWeb2.0と呼ばれ、最近ではクラウドソーシングと言われているものが1つの方向性と考えています。今は書籍-人-クラウドとワンクッションおいたアクセスになりますが、ShelvARは図書館とクラウドをつなげる1つの方法になるのではないでしょうか。
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