「PS2エミュレーションは中古ソフト屋を儲けさせるだけ」プレステ3の後方互換性は「HDリマスターバージョン」で確保とソニー担当者が言及
80GBHDD搭載のCECHExx系を最後に、PS2規格ゲームが動かせなくなってしまったプレイステーション3。しかしファンの熱い要望を反映し、これまで幾度となく公式エミュレーターの開発や互換アダプタについて噂になっています。いったい当のソニーはプレステ3の後方互換性についてどのように考えているのでしょうか?ソニー・アメリカのマーケティング担当者が後方互換性についてのインタビューに答えています。
インタビューに答えたのはソニー・アメリカのマーケティング部門の責任者ジョン・コーラー氏。過去のインタビューでも「プレイステーション3に後方互換性を持たせることはない」と断言していますが、TheGameHeadz.comとのインタビューで、改めてPS3の後方互換性について語りました。
後方互換性は高コスト過ぎる
そもそも後方互換性をカットしたのは利益に対してコストが高すぎるのが原因とのこと。
「後方互換性については議論があるが、まずビジネスとして成り立つかという視点から考えなければならなかった。PS3が成功するにはかなり長い時間がかかるのが分かっていたので、利益を上げる方法を模索しなければならなかった。単にユーザーが便利だから、といって(後方互換性の)機能を足すわけにはいかないという事情があった。」
40GBHDD搭載モデル(CECHGxx)のローンチと同時に後方互換性をカットした後の売り上げから、ソニーは後方互換性にそこまで大きな旨みはなく、単にハードウェアに対するユーザーの忠誠度を上げる効果しかないと認識したそうです。忠誠度ではXBOXに大きく離されていたので無意味と判断したと考えられます。
エミュレーションがビジネスに与える影響
ただし、会話の調子ではソニーは未だ後方互換性に興味は示しているものの、どうすればうまくいくか探りかねているという感じだったとのこと。
「ソフトウェアアップデートでゲームごとにエミュレーターを配布するのが当初検討されたがこれはもっとも高くつく。ほぼすべてのPS2ゲームに対して違ったエミュレーターを開発しなければならず、そこまでやってももともとのPS2ゲーム以上にならないので意味がない。またファームウェアアップデートでは誰も儲からない」
実際ソフトウェアエミュレーションは安定するまでにかなりの時間を必要とし、現在もうまく動作しないゲームがある状況です。そんなソニーが現在有望視しているのは、PS2ゲームのHDリマスタリング版の販売。
「このアイディアが出されたのは2年前だった。リマスタリングなら新規開発と比べてメーカーの負担は緩やかで現実的。よいタイトルを選べば成功するだろう。実際、試験的にリリースされたのが『God of War Collection』だ」
後方互換性よりもHDリマスタリング版のほうが関係者すべてに望ましい
「現在までに200万本を売り上げているリマスタリング版『God of War Collection』の成功によりActivision, EA、UBI、コナミ、スクウェア・エニックスなどのメーカーがリマスタリング版制作への参加を決定している。プリンス・オブ・ペルシャやICO、ワンダと巨像などは始まりに過ぎない。コナミのMGSシリーズやスクウェア・エニックスのFFシリーズがリリースされる日を楽しみにしてほしい」と、HDリマスタリングはメーカーとユーザーにとって最も望ましい後方互換の方法であると強調しました。
メーカーから見て後方互換性はゲームの売り上げに影響が大きいため、かなりの時間を費やしてソニーやソフトウェアメーカーのビジネス面への影響を語るなどソニーに対して様々な圧力がかかっているのを感じさせる発言が多かったのが印象的なインタビューでした。
ゲームハードの中ではかなりロングセラーとなっているPS2、素晴らしいタイトルも多くリリースされているため今後も後方互換性については注目する必要がありそうです。
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