35年前に盗まれた自動車、持ち主のもとに無事帰る
盗まれた車は海外に輸出されてしまったり、分解されて部品になって売られてしまうなど、持ち主の手に帰ってくることはほとんどないのですが、なんと35年前に盗まれた車が無事に帰ってくるという出来事がアメリカであったようです。いったいどのような旅を経て持ち主の所に戻ってきたのでしょうか。
ロサンゼルス・デイリー・ニュースの発行人、ジャック・クランダー氏は大学入学のお祝いとして父親に1966年式のフォード・マスタングを買ってもらいました。決して裕福な家庭ではありませんでしたが、検眼士であった父親が一生懸命やりくりして買ってくれたのだそうです。
しかし35年前の1974年、バスケットボールの練習中に目を離した隙にマスタングは盗まれてしまいました。その日は窃盗団による大規模な行動があったようで、一晩にして60台もの車が盗まれてしまったそうです。駆けつけたパトロール隊の警官は「見つかったらお知らせしますよ」と言ったそうですが、発見されることはありませんでした。
それから年月がたち、クランダー氏は結婚、4人の娘もできました。しかしそのマスタングが忘れられません。盗まれたのと似たものを娘にも買い与えたり、自分もマスタングに乗り続けていましたが、そんな2009年のある日、突然警察から電話がかかってきました。
「クランダー氏のマスタングが発見されました」
電話に出た奥さんは不思議に思いました。クランダー氏は毎日マスタングで出勤しているからです。そこで「主人は今、そのマスタングに乗って出かけているのですが」と聞いたところ「そのマスタングではなく、1974年に盗まれたものです」--警察は35年前の約束を忘れていなかったのです。
奥さんが警察の駐車場に出向いたところ、そこにあったのはボロボロの、でも間違いなく1974年に盗まれたマスタングでした。奥さんによると「家まで運転して帰ってくるのが大変なくらいボロボロ」だったそうです。
「父は節約して盗難保険をかけていなかったのをずっと悔やんでいた。父にとってこの車は私が思うよりも大事なのだったと思う。だからこの車が戻ってきてとても嬉しい」とはクランダー氏のコメント。
それから10ヶ月をかけて、クランダー氏のマスタングは徹底的にレストアされ、とうとう先月氏のところに戻ってきました。家族や友人が立ち会う中、氏は大喜びでドライブを楽しんだそうです。
ソース:Dennis McCarthy: Stolen Mustang recovered 35 years later – LA Daily News