科学と技術

Androidタブレットで支援攻撃を呼び寄せるDARPAの次世代支援攻撃システム


呪文を唱えると目の前の敵が爆発する……のはなにもファンタジー小説の中だけのことではありません。現実の戦場では、無線手が攻撃機やミサイルを呼び寄せて鉄の雨を降らせます。アメリカ国防総省の研究機関DARPAでは、こうした近接航空支援(CAS)を誰にでも、より早く呼び寄せられるよう、システムの整備が進んでいます。


敵を安全に攻撃するには近寄らないのが一番です。敵を見つけたら即連絡して、攻撃ヘリや砲撃、ミサイルを要請するのがセオリーですが、問題は支援が到達するまでの時間。砲撃は射程距離外だと呼べず、航空機やミサイルも瞬時にやってきてくれるわけではありません。その間に敵が移動してしまうと、せっかく呼んだ支援が無駄になってしまいますし、長時間敵の攻撃を耐えるとそれだけ損害の可能性も高まります。

近接航空支援(CAS – Close Air Support)を要請する無線誘導手「コンバット・コントローラー」の訓練風景。空軍に所属しており、地上部隊と一緒に行動します。彼らが無線で座標を伝えると攻撃機がやってきて敵を蜂の巣にしてくれます。
Close Air Support: Calling in JDAMs in HD – YouTube

また、現在のような座標の伝達やレーザーマーカーによる目標指示だけでは、一度にたくさんの攻撃機を誘導することができません。攻撃機の武装や位置を把握しているコンバット・コントローラーは、人力でそこまで大量の情報を一気に処理することができないからです。

DARPAが2010年から研究をすすめているPCAS(Persistent Close Air Support)はこれらの問題を、航空機と地上部隊間のリアルタイムな情報共有によって解決しようというもの。現在飛行中の攻撃機チームの位置・武装や、ミサイルの準備状況、地上部隊の位置などをコンバット・コントローラーと航空部隊で共有することで、より柔軟な配備を行えるとしています。

DARPAによる想像図。敵位置の伝達だけでなく、攻撃手段の選択や友軍兵士の残弾状況などが表示されています。

利点として、飛行中の有人・無人航空機にほぼ直接指示が可能なので、現在最大60分かかる到達時間を1/10にできることがあげられます。地上部隊の生存確率が高まり、また誤射も減らせます。

システムは航空機用のPCAS-Airと地上部隊用のPCAS-Groundに分かれており、仮にどちらかのシステムがダウンしても自律的な攻撃の誘導ができるように設計されるそう。もし仮に両方ともがダメになっても、従来の方法を併用すれば攻撃を続行できます。

2012年12月から2013年3月にかけて、Androidタブレット500台を用いた実地テストが行われており、より安全・より早く支援要請できるようになっているということです。

今後、2014年まで8200万ドル(約82億円)をかけてレイセオン社と共同で開発が進められます。2013年は複数攻撃機による複数目標への対応とテスト、またシステム導入の簡易化について研究が行われるということです。

ソース:Persistent Close Air Support (PCAS)

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