「仕事中の私用ネット禁止」は生産性を落としてしまうことが判明
海外のWebページではセクシー画像に「見てるのがバレたらクビになるぞ」という意味の「NSFW(Not Safe For Work)」という略語がつけられます。それくらい「仕事中のネットサーフィン」は嫌われていて監視されているのですが、これは本当に悪いことなのでしょうか。実は「ネットを我慢させると生産性が落ちる」という噂は事実だったのです。
研究を行ったのは、イタリアのヴェローナ大学、アメリカのジョージ・メイソン大学、デンマークのコペンハーゲン大学の研究者チーム。
職場では様々なルールによって「幸福感をガマンさせる」ということが行われていますが、ガマンにはエネルギーが必要で、その分仕事にまわすエネルギーが足りなくなる……ということが今回の「Temptation at Work(職場における研究)」と題された論文で明らかにされました。
実験では被験者60人を30人ずつ2つに分けて比較が行われました。手順は以下の通り。
1フェーズめ:
「8人が違う色のボールでキャッチボールをするという動画を見ながら、特定の色のボールが何回行き来するかをカウントするタスクを3回行います。回数が一致、あるいは1~2回のミスであれば賞金が出ます。これはタスクの中でも質を求められる「出来高払い」モデルに近似させています。2フェーズめ:
半数(NWT……No Willpower Treatment)はスクリーンでおもしろ動画を見た後そのまま10分休憩します。
もう半分(WT……Willpower Treatment)も休憩しますが、スクリーンには「動画再生ボタン」が表示され「ボタンをクリックしないこと」と指示されます。横の部屋からは動画の音声が聞こえてきており、誘惑をガマンしなければなりませんちなみに1回押すと「押さないよう指示されているはず」と表示され、さらにもう1回押すと誘惑に負けたと判断されてテストから除外されます。2回押したのは30人中1人だったそうです。
3フェーズめ:
1フェーズめとおなじカウントタスクを10回行います。
1フェーズめと3フェーズめのテストの結果がこちら。グラフは低いほどミスが少なく好成績であることを表します。NWTが休憩組、WTはガマン組となります。
1フェーズめのテストの差は偶然です。3フェーズめは1フェーズめと同じテストなので学習効果が発生し、両方のグループでエラー数が減少しました。しかし、休憩したNWTのほうがガマンしたWTよりも成績がよくなっています。
目の前に楽しそうなことがあるのに触れることができない、というように誘惑をガマンしなければならないというのは、精神的なエネルギーを消費させパフォーマンスを落としてしまいます。
もし職場でネットを制限するとすれば、完全に遮断してしまって「つなげられるのにガマンしなければならない」状態を断つか、あるいはルールとして「ネット休憩」の時間を設けるなどの工夫が必要となる、と研究者は語ります。
また、生産性を上げるためにはエネルギーがどう消費されるかだけでなく、どう回復するかを知ることも重要。学習効果にも差がでたことから、楽しみと精神的なエネルギーの関連についても研究がすすめられるとしています。
ソース:Internet temptation at work lowers employee productivity
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