科学と技術

あらゆる人と仲良くなろうとする「ウィリアムス症候群」の子どもたち


周りの人に対してなんとなく「壁」を感じている人は少なくないと思いますが、「ウィリアムス症候群」という遺伝子疾患の患者はこの真逆、見る人すべてに対しまったくそうした障壁を感じることがないのだそうです。


ウィリアムス症候群」は新生児の7500~2万人に1人に発症すると言われる遺伝子疾患。7番染色体上の遺伝子が約25個欠失することが原因であることが判明しています。心臓に異常を持つことが多くなり多くは50代で命を落とします。

また人によってさまざまですが、しばしば陽気さ・多弁さが特徴となります。他人、特に大人に対してまったく壁や距離というものを感じることがありません。ウィリアムス症候群の子どもたちの社会的なふるまいを研究しているボストン大学のヘレン・テイガー=フルスバーグは「会って5分もしないうちに彼れらはあなたのことを素晴らしい友人だと考えるでしょう」と表現していますが、彼らに会えば必ずこのようにハグと拍手、そして質問攻めにあうのです。

「女の子は好き?」というあけすけな質問も躊躇しません。

典型児との比較で、大人の実験者がテーブルに強くヒザを当てて痛がる振りをし、子どもがどのような反応を示すかを記録しています。典型児がこのように何も反応しないのに対し……

ウィリアムス症候群の子ども達は声をかけたりさすったりします。

こうした感情移入、他者への共感の強さは他人への恐れが少ないことを意味しますが、これは非常に危険なことでもあります。

例えば、野球帽にサングラスをかけた他人と同じ部屋に置く実験で、典型児はこのように距離をとろうとします。

しかしウィリアムス症候群の子ども達は、会話したりおもちゃをあげようとするのです。これが例えば誘拐犯であったら……という心配は尽きません。

ただ「フレンドリーでありたい」という願望を持っていても「フレンドリーさを適切に表現する」というのは難しいそうで、多くのウィリアムス症候群の人々は対人コミュニケーションに問題を抱えているとのこと。

この女性は、友人と思っていた他人にたかられ続け、いじめに遭いました。共感が強い分、裏切られたショックも強いようです。

何でもかんでも一緒にやろうとする彼らに対して「距離をとる」ということを教えるにはこうした合奏が用いられます。音楽の演奏を通じて「楽器をかわりばんこに使うこと」「役割の分担をすること」「始める、止まるの約束事を守ること」ということを学ぶのです。

私たちはしばしば「他の人には愛想よくしなさい」というようなことを言われます。そしてウィリアムス症候群の子ども達はまさにその理想をいっているわけですが、どこか危うさを抱えているように見えます。人間と人間の間にはしかるべき距離が必要なのだという私たちのコンセプトは正しいのでしょうか、間違っているのでしょうか。

動画へのリンクは以下から。

ソース:Friendly to the Extreme: Meet Kids and Adults With Williams Syndrome – ABC News

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