天才アラン・ケイが1982年に構想していた「オンライン百科事典」のある世界
個人向けの「パーソナルコンピューター」という概念を初めて生み出した天才計算機科学者アラン・ケイは、アタリ社の首席研究者だった1982年にオンライン百科事典「Intelligent Encyclopedia」を構想していました。インターネットがここまで普及することなど誰も予想していなかった当時、天才の目にはどういう未来が映っていたのでしょうか。
これはアラン・ケイとブリタニカ百科事典の編集者であったボブ・シュタインの構想を、ディズニーのアニメーターであったグレン・キーンが絵に起こしたもの。
一人一人が端末を持ちそれぞれが必要な情報を見ていたり、ワイヤレスでサーバーにアクセスしていたりというのは今ではごく普通の風景ですが、この絵が描かれた1982年には自動車電話すらそれほど多くは見られなかったことを考えると、相当正確に「モバイル・コンピューティング」の姿が予見されていたことが分かります。
1. 博物館のインタラクティブ端末で学ぶ子ども達
2. 父親が過去の資料のアーカイブからビートルズを子どもに見せているシーン。子どもはVan Halenが好きなようです。
3. ぶどう畑を水田にして、ワインから酒に主力を移そうとしている農園主。稲に必要な水量を端末で調べている。この風景はiPadで実現していますね。
4. 地震警報が端末を通じて届く。地震の規模と安全対策を端末でチェック。
5. 2つのグループに分かれて学習を進める子ども達。手前の一人はこっそり落書きで遊んでいますが、現代でも携帯電話で遊んでいる子どもはいますね。
6. 機内で株価をチェックするビジネスマン。
7. スポーツ中継を見ながら端末でシミュレーションを行う男性たちと、ワインについて調べる男女。
8. 東洋の文化を学ぶ建築家と、西洋の文化を学ぶ東洋の子ども達。
9. 海辺で知らない生き物を見つけても、すぐに調べることができます。
オンライン百科事典というよりもネットワークの未来全般が相当正確に予測されていることが分かります。
唯一この絵の中に描かれていないのは、YouTubeやWikipediaなど見ず知らずの人々が自由にコンテンツをアップロードしたり、それらについて語り合ういわゆる「ソーシャル」な世界。さすがに「百科事典をみんなで作ろう」というコンセプトは予想できなかったようです。この絵が描かれて30年、やっと当時の人たちが予想もしなかった未来にたどり着いたのかもしれません。
ソース:if:book: Back to the Future — In honor of Encyclopedia Britannica giving up its print edition
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