科学と技術

スペースシャトルの耐熱タイルは摂氏1200度に熱した直後に手で持つことができる……という実験動画


スペースシャトルの耐熱タイルは、地球に再突入する際に発生する摂氏約1600度にもなる熱からスペースシャトルを守るためのもの。シャトルの機体に貼り付けられた耐熱タイルはその構造によって熱を伝えず、そしてあっという間に放熱してしまうという実に不思議な性質を持っています。

ケネディ宇宙センターの見学者向けデモでの一コマ。スペースシャトルの耐熱タイルと同素材のブロックを摂氏1200度で1時間熱したものを触ってみる……という実験。

どう考えても熱そうなのですが、角を持てばまったく熱くないとのこと。不思議です。

動画はこちらから。
Space Shuttle Thermal Tile Demonstration – YouTube

スペースシャトルの耐熱材は部位によって何種類化あるのですが、いずれも求められる性能は凄まじいものがあります。打ち上げ・帰還の衝撃に耐えること、何かがぶつかっても壊れないこと、極端な高温と低温、温度の変化に耐えること、そして打ち上げやすいように超軽量なことなどです。

また素材にも制限があります。再突入の熱は超高速のシャトルが空気を押しつぶす圧力で発生するものの他に、シャトル周囲の酸素や窒素の分子が一旦バラバラになってから再結合する際の放熱によるものもあります。このため、化学反応の触媒にならないガラス質のものでなければなりません。

スペースシャトルの耐熱タイルはアメリカのロッキード・ミサイル・アンド・スペース・カンパニー社製の「LI-900」。耐熱タイルの素材のシリカガラス繊維にコーティングがされており全容積の94%が空気……つまりタイルというよりもスポンジといったほうがよい構造になっています。空気はものすごく熱を伝えにくいので耐熱タイルから向こうのスペースシャトル本体まで熱が伝わることがありません。

またLI-900の熱放射率は0.8を超える非常に高いものなので、少し放置するだけであっという間に空気中に熱を放出してしまいます。ほとんど熱を蓄えず、しかもさっと放熱してしまうため、すぐに触れるくらいに冷めてしまうというわけですね。

ちなみにこのLI-900、NASAの売店で買えるほか、教育機関向けに払い下げもしているよう。どの部位のタイルかは選べませんが、1枚23ドル40セント(約2600円)で買うことも可能です。

「熱しているものは触ると熱い」という理論に基づかない直感に頼ってばかりだと150分の上映時間の間に168の間違いがあるこんな作品もできてしまいます。最近の映画作りは大変です。

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