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商標裁判が「腕相撲」で決着がついたことがある


面と向かって話しあえばひょっとしたらうまくいくようなことでも、最近はなんでも訴訟にしてしまって、ギスギスした関係が長く続いてしまいがち。そんな中テキサスの航空会社・サウスウエスト航空は、とある争いに「腕相撲」で決着を付けたことがあるそうです。

登場するのはサウスウェスト航空の名物社長、ハーバート・ケレハー。1971年にテキサス州内の空港を結ぶ国内航空会社としてサウスウェスト航空を立ち上げました。当時の航空業界は規制産業で、同業他社や監督官庁から執拗な妨害を受けましたが、それらと戦い、現在では格安で大変ユニークな航空会社として知られるようになりました。

どれくらいユニークかというとこんな機内アナウンスが聞けるくらいユニーク。とにかく社員を大事にする社風で、それが結局よい顧客サービスにつながっています。
FUNNY STEWARD SOUTHWEST AIRLINES RAPPING SAFETY INFORMATION – YouTube

こんな調子ですから宣伝用のキャッチコピーも鋭く、キワドイものが多かったのですがこれが問題になったのが1990年。

「気がきいている」と「よい飛行機を選びましょう」をかけたコピー「Just Plane Smart」が、サウスカロライナ州を拠点としていたスティーブンス航空が商標登録していた「Plane Smart」と重複していることが発覚したのです。

裁判になれば解決に数十万ドルの費用と長い年月が必要となります。うっかり長引くことになれば共倒れにならないとも限りません。そこでスティーブンス航空の会長、カート・ハワールドはサウスウェスト航空に対し「Plane Smartを賭けて腕相撲で勝負しようじゃないか」と持ちかけたのです。

試合は3本勝負。商標を賭けるほか、1試合ごとに5000ドルを慈善団体に寄付するという前代未聞の試合の噂はまたたくまに全米に広がり、両社には「ポパイ」のほうれん草からメキシコ産ステロイドまで様々な激励の品が届いたそうです。

そして1992年3月20日。後に「ダラスの決闘」と呼ばれる戦いは幕を開けました。

まず1本目。「ロッキー」のテーマに乗ってリングにあがったケレハー社長は「腕を痛めている」といきなり代理を指名。1986年のテキサス州腕相撲チャンプのJ. R. ジョーンズを送り込みハワールド会長を瞬殺します。

2本目はハワールド会長も女性社員の「殺し屋」アネット・コーツを指名。こちらもケレハー社長を瞬殺し、勝負は3本目にもつれこみました。

赤いポロシャツのハワールド会長と、葉巻をくわえたケレハー社長。35秒に渡る、2人の南部の男達の戦いは、商標の持ち主・ハワールド会長の勝利に終わったのです。

この戦いは当時のブッシュ・シニア大統領の耳にも入り、2人の健闘を称える電報が後に届けられました。商標問題の方はハワールド会長が、勝負を受けたケレハー社長の勇気を称え不問とすることに決定。両社は訴訟費用を節約でき、何より全米に名前が広まるという素晴らしい宣伝となったということです。

ソース:The Story Of The Most Legendary Arm Wrestling Competition In History

サウスウエスト航空 – Wikipedia

トップ画像:Sports Day | Flickr – Photo Sharing!

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