「たったいま航空機を撃墜」ウクライナにおけるマレーシア航空撃墜事件で分離独立派・親ロシア派の通信音声が流出（翻訳あり）

2014.07.18 19:54 by chaka

日本時間18日未明、マレーシア航空機ボーイング777がウクライナ上空で撃墜された事件について、内戦状態でもあることからウクライナ側・ロシア側双方の激しいプロパガンダが進行しています。そんな中「たったいま航空機を撃墜」とロシア側に連絡する親ロシアの分離独立派の通信音声が流出しました。

こちらはニューヨーク・タイムズ誌がウクライナの分離独立派（＝親ロシア派）の通信を傍受したものとして公開している音声です。分離独立派の民兵とロシア軍内の情報部員が、撃墜したマレーシア航空機について情報交換を行っています。
Intercepted Audio of Ukraine Separatists – Video – NYTimes.com

以下は動画中の英語字幕をさらに日本語に翻訳したものです。

まず1本めの会話。イゴール・ベズラーという民兵側の隊長がロシア軍情報部のヴァシリ・ゲラーニンに撃墜を報告しています。

イゴール・ベズラー：
たったいま航空機を撃墜しました。ミネラグループです。
ヤナキエボを越えて落ちました。これより……

ヴァシリ・ゲラーニン：
パイロットは、パイロットはどうした？

イゴール・ベズラー：
これより捜索して飛行機を撮影します。燃えてます。

ヴァシリ・ゲラーニン：
いったい何分前の話だ？

イゴール・ベズラー：
30分くらいです。

2本めの通信では民兵側の「少佐」とロシア軍側の「ギリシャ人」が会話しています。だんだんと現場の様子が分かり、事故の悲惨さが認識されつつあるようです。

「ギリシャ人」：
はい少佐

少佐：
チェルヌキーノ村の人間が撃墜したようです

「ギリシャ人」：
撃墜したのは誰だ？

少佐：
チェルヌキーノ村の検問所のコサックです
彼らはそこを拠点にしている

「ギリシャ人」：
了解

少佐：
飛行機はバラバラになった
ペトロパブロフスカヤ鉱山の近くです
コード200（死亡者を表す符号）だ。コード200を見つけた

「ギリシャ人」：
200がいるのか？

少佐：
そうです、民間人だ
サーシャ？

「ギリシャ人」：
そこには何があるんだ？

少佐：
まず、こいつは間違いなく民間の航空機だ

「ギリシャ人」：
わかった。そこに何人いる？

少佐：
なんてこった。ここの庭は破片だらけだ。

「ギリシャ人」：
どんな航空機だ？

少佐：
まだ分かりませｎ。墜落地点にはまだ到着していない。
最初の死体を発見した近辺を捜索中です
内部の骨組みや座席や死体がたくさんある

「ギリシャ人」：
武器はあるか？

少佐：
ない。民間人の持ち物や医療器具やタオルとかトイレットペーパーとかだ。

「ギリシャ人」：
何か書類はないか？

少佐：
ある。インドネシアのトンプソン大学の学生証のようなものがある

3本目では民兵がニコライ・コズィーチンの会話。誰が何を撃墜してしまったのか、現場での情報が錯綜している様子が伝わってきます。

身元不詳の民兵：
シュニズネ・トレズ地区に落ちた飛行機なんですが
民間機です。グラボヴェの近くに落ちました
女や子どもの死体がたくさんあります
コサック族が捜索を続けています

ウクライナのAN-26だって報道されてますが
マレーシア航空のロゴが入ってます
なんでこんなのがウクライナにあるんですか？

ニコライ・コズィーチン：
スパイを運んでたってことさ。分かるか？

身元不詳の民兵：
はい

ニコライ・コズィーチン：
だいたいここを飛ぶべきじゃなかったんだ。戦争やってるのに。

身元不詳の民兵：
了解

墜落地点はウクライナ・ロシア国境に近いグラボヴェ村のはずれ。分離独立派の勢力圏内であり、今後の調査はおそらく難航するものと思われます。

クリミア半島上空は以前から飛行禁止区域に指定されていましたが、マレーシア航空機が飛んでいたL980航空路はそこから外れていました。しかしそこに接続するA87航空路は、事故直前にロシアによって閉鎖されました。

Maps of the Crash of Malaysia Airlines Flight 17 – NYTimes.com

エール・フランス、ブリティッシュ・エアウェイズなどは先週からウクライナ上空を避けて飛行しています。

この通信はロシアおよび分離独立派による撃墜であることの裏付けになり、ウクライナはさかんに批判していますが、一方でロシア側も「マレーシア機撃墜はウクライナ空軍機によるもの」という報道を事故発覚直後から行っています。（ただしこれは民間旅客機の巡航高度に到達し、撃墜できる性能の機体をウクライナ空軍が持っていないことからかなり疑問視されています）

今まさにプロパガンダが進行中ということで、「未確認情報」と題した想像を絶する量のデマやが飛び交うのが想定されます。ご注意ください。